お客様と接する中で、「緊張してしまってうまく力が抜けないんです」といったお声をいただくことがございます。とても自然な反応だと思いますし、むしろそれだけ真剣に向き合ってくださっている証拠でもあると感じています。
人の身体は、自律神経によって無意識にコントロールされています。
その中でも、活動時や緊張状態に働く「交感神経」と、リラックスや回復に関わる「副交感神経」のバランスが非常に重要です。
実は、いわゆる“感じやすさ”というものは、この副交感神経が優位な状態で高まりやすいと言われています。
副交感神経が優位になると、呼吸はゆっくりと深くなり、心拍数は落ち着き、末梢の血流も改善していきます。
この「血流」というのが非常に大切で、皮膚や筋肉、そして感覚受容器にしっかりと酸素や栄養が届くことで、触れられた感覚がより繊細に脳へ伝わるようになります。
一方で、緊張や不安が強い状態、つまり交感神経が優位な状態では、血管は収縮しやすくなり、呼吸も浅く速くなります。
その結果、感覚はどうしても鈍くなり、「触れられてもどこか遠く感じる」といった状態になりやすいのです。
理学療法士としての視点から補足させていただくと、皮膚には「C触覚線維」と呼ばれる神経が存在します。
これは、優しくゆっくりとしたタッチによって活性化される神経で、「心地よさ」や「安心感」と深く関係しています。
つまり、ただ刺激が強ければ良いというわけではなく、身体が“安心して受け入れられる状態”を作ることが、結果として感覚の質を高めることに繋がるのです。
このお仕事において、僕が大切にしているのは、まさにこの“安心できる状態づくり”です。
最初はどうしても緊張されている方が多いのですが、呼吸のリズムやお身体の反応を感じ取りながら、少しずつ力が抜けていくように関わらせていただいております。
実際に、「気づいたら力が抜けていました」や「いつの間にかすごくリラックスしていました」といったお言葉をいただくこともあり、とても嬉しく感じております。
触れられるという行為は、とても繊細で、同時にとても深いものです。
ただの刺激ではなく、「安心して身を委ねられるかどうか」が、その時間の質を大きく左右すると感じています。
無理に何かを感じようとする必要はありません。
まずは、安心して呼吸ができること。
その積み重ねの先に、自然と感覚はついてくるものだと思います。
これからも、技術だけでなく、その方にとって心からリラックスできる時間を提供できるよう、丁寧に向き合ってまいります🙇♂️