柔らかい煙を纏うコップの縁
霞むブラウンが
音を吸い込んだ部屋の呼吸を
ゆっくり満たす
週末に降りて来る汽車
窓の外に漂って
硝子がリズムを刻む
浮き上がる丸い光の粒が
時計塔の影を転がる
月が泳ぐ世界で
お茶を飲んで深海に潜る
指先の触角で感じる温かさ
泡のざわめきを
そっと沈めていく
緑で茶色の香り
粒が煌めくノイズをほどき
霞んだページに
栞を挟んでいく
水溜まりの街
ネオンが線を描いて
渦を巻く雲が
地面で音を鳴らす
眉間の奥に溶ける葉の香り
背もたれに沈む身体
懐かしいビート
記憶と街の隙間を通る風
静かな波形が流れる
水滴が伝うガラス
蝋燭がゆらぎ
席を立つ意識が
呼吸と調和して
物語が生まれていく
一口の温度
鼓動をわずかに揺らし
グラスの振動が
甘い記憶をそっと撫でる
名前のない感情
上がらない熱と
一定のリズムが
空間を支配する
豪華な扉を出て
体を揺らす
夜の続きが足もとで跳ねて
頬を伝って染み込んでいく
緑で茶色の香りが
ポケットの中に残って
回る円盤の中心で
目を閉じて
そっと息をしていた
















































































